審査結果発表

実現した夢部門 受賞プラン詳細

最優秀賞
審査結果
最優秀賞
プラン名
杜の都・西公園を遊ぼう
実施日
平成26年6月22日〜平成28年7月24日のうちの25日間
団体名
西公園を遊ぼうプロジェクト
主催
西公園を遊ぼうプロジェクト
開催場所
西公園(桜ヶ岡公園)(宮城県仙台市青葉区)
参加者数
8,000人
スタッフ数
15人
写真

小枝で灯り
ろうそくをともして光のページェント

震災後初めて出来た花壇に花の苗を

西公園の昔について聞く
実施概要
100万都市仙台の都心にある西公園は、明治8年からの歴史があり、杜の都のシンボル・青葉山が臨め、広瀬川のせせらぎが聞こえる緑豊かな場所です。しかし、昭和半ばまであった公共施設(図書館・天文台・市民プール等)が次々となくなり、東日本大震災後は訪れる親子連れやスポーツを楽しむ人の姿も減ってしまい「ちょっとさびれた公園」「放置された公園」になっていました。災害時の緊急避難場所に指定されてはいるものの、雨雪をしのぐ屋根のついたスペースもなければ、非常用食料やシュラフを収納する建物もありません。震災のダメージもあって、周囲の小さなお店は次々と姿を消し、住民は高齢化し、町内会の機能もうまく働かなくなってきつつあります。歩き疲れた時に一服したり、憩うための椅子も貧弱で、ゆっくり憩うしかけもなく、国内外の他の公園に比べ公園活用のソフト力も弱く、貧弱でうまく活用されていません。
そこで私たちは、好立地にあり、杜の都の宝とも言える西公園の魅力を掘り起し、多くの市民に愛され、他都市・他国から訪れられるナチュラル感のある公園として、次世代につないでいきたいと、2014年に「西公園を遊ぼうプロジェクト」を立ち上げました。まずは市民に周知され、公園に親しんでもらうことからと、その道の専門家を講師やガイド役にお願いして、毎月1回、市民参加の企画を始めました。

1年目は「ココはどこ?これはナニ?ここはナニ?」のプレ企画にはじまり、大昔、海だった時代から現在の河岸段丘に至るまでのお話を聞き、化石を見せてもらい、いかに安全な地層の上に成り立ち、緑が豊かであるかを実感。写真家の手ほどきで参加者がそれぞれの視点で写真を撮ったりもしました。また「ミニミニ西公園」ではケヤキやモミジの実生を探し、小さな鉢植えにして育てる<ミニフォレスト作り>をしたり、紅葉した桜の落ち葉で染色をしたり、公園の資源を存分に生かしながら、その魅力を掘り起こす活動を展開しています。

秋に行なった「西公園あったかマルシェ」では、被災した沿岸部の海産物店や地元の喫茶店に声をかけ、ママたちの手作り品、クラフト、フリーマーケット等多様な出店者がテントを並べ、多くの人で賑わいました(約5000人)。
冬には、大掛かりに木を組んでろうそくに火を灯す、手作りの「光のページェント西公園版」を行いました。駅から地下鉄で3分の近距離にありながら、樹齢300年を数えるイチョウやヒマラヤ杉もあり、空襲でほとんどが焼けてしまった仙台で、焼けただれたにもかかわらず翌年芽吹き、市民に希望と感動を与えた貴重な木であり、保存樹林であることもわかりました。

2年目は市の公園課や植木市協賛会の協力も仰ぎ、震災後初めて整備された新しい花壇に花の苗を植えました。川を臨むフェンスの外のササ刈りや樹木の剪定にもチャレンジしました。また、隠れた夕日スポットであるにも関わらず、あまり知られていないことから『100万人の夕日を眺める会』を呼びかけたところ、たくさんの人が参加してくれ、のんびり日が沈むのを眺めながら、ハンモックに揺られたり軽食やコーヒーを楽しむ時間を作りだすことが出来ました。それ以後三脚を手に西公園からの風景を撮影に訪れる方が増えたと感じています。
2015年12月に開いた『よばなし西公園』では、昭和3年に現在の西公園エリアで開かれた東北産業博覧会の詳細な絵図を囲み、商工会議所の方から、当時仙台市民17万のところに、55日間で160万人を越える集客があったこと、あの宮沢賢治さんも訪れた等びっくりするような話をいくつも伺いました。特に、広瀬川をはさんで対岸まで空中ケーブルがかけられていたことと、ウオーターシュートがあったことには誰もが驚きました。
2016年1月にはシンポジウムを開催し、多くの市民が西公園について「もっときれいに、親しみやすくなってほしい」「広瀬川がもっと見えるようにしてほしい」「散歩の途中、ちょっと休めるようなベンチやあずまやがあるといい」「移動ワゴンでもいいからジューススタンドやカフェのようなのがあれば」「SLでまた遊びたい」「パークウエディングが出来るような公園になってほしい」など様々な希望を持っていることも見えてきました。
活動は3年目に入り、花壇の花植えから始まり、樹木医さんと一緒に貴重な公園であることを確認する等さまざまな企画を展開してきたことで、西公園は少しずつ賑わいを取り戻しつつあります。この秋にはSL広場が整備され、土木遺産のレンガ下水道も一般に公開される予定です。地下鉄大町西公園駅が出来たことで、20世紀の遺物のような公園を分断している歩道橋がより市民にとってどんなものであるといいのか、あるいは広瀬川べりをどんなテラスにするといいのか等、これからの夢に向かって具体的な話し合いを続けています。
アピールポイント・参加動機等
ハードがなくとも、今ある公園資源の魅力に市民が気づいていけるように、自然・歴史・成り立ち・文化・・・様々な角度から企画を実施しました。定例企画を行なうことで、継続して参加するメンバーが増え、公園を通じた人のつながりがアップしました。また、行政の西公園に対する認識も変化してきています。2015年からプロジェクトメンバーと市/公園課が協力して、広瀬川を臨む河岸の伸び放題の藪の草刈り、邪魔な枝の剪定を行ない、だいぶ見晴らしがよくなりました。さらにベンチ等の設置までつながっていけばと、プロジェクトではどの場所に椅子があるといいか、どんなデザインがいいか、また、公園を東西に分断している歩道橋をもっと人にやさしく自然景観に融合感のあるものにするには・・・等の調査や研究を進めています。

今年度は、この先の公園の利活用について、主体的に動く市民に育ってほしいと、秋から「西公園フロンティア養成講座」を実施する予定です。自宅の庭や、リビングの延長として西公園を利用する人が増え、マルシェやコンサートが行われたり、簡易なカフェがあったりすることで、市民の文化度もアップし、暮す人、他都市から訪れる人が交流し、震災後の町も活気づき、地域コミュニティにも賑わいが戻ってくることを願っています。

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